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春爛漫

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女性国会議員の一日を追う!知られざる“政治の現場”の現実

By aikapa on 2025年11月7日2025年11月9日

あの議場の沈黙は、今も耳に残っている。

都議会議員として8年間、私は数え切れないほどの議会に出席した。

だが、国会議員の一日を取材して感じたのは、「議員の仕事は、議場の外にこそある」という事実だった。

テレビで映る国会中継は、政治家の仕事のほんの一部に過ぎない。

早朝から深夜まで、週末も休みなく続く過酷な日々──そこには、私たち市民の声を届けようと奔走する、一人の人間としての姿があった。

この記事では、元都議会議員として政治の現場を知る私が、女性国会議員のリアルな一日を追いながら、知られざる政治の現実をお伝えしたい。

特に女性議員が直面する課題にも光を当てることで、あなたと政治の距離が一歩近づくきっかけになれば幸いだ。

Contents

  • 1 夜明け前から始まる政治家の一日
    • 1.1 朝から続く”会議マラソン”
  • 2 国会の”見えない時間”──本会議と委員会の狭間で
    • 2.1 昼食は”情報戦”の時間
  • 3 数字が語る現実──女性議員はなぜ少ないのか
  • 4 育児とハラスメント──女性議員が直面する二重の壁
    • 4.1 ハラスメントの実態
    • 4.2 育児との両立という”見えない壁”
  • 5 週末は”もう一つの戦場”──地元活動の過酷さ
    • 5.1 地元活動の重要性
  • 6 まとめ──政治の現場から、あなたへ
  • 7 参考文献

夜明け前から始まる政治家の一日

国会議員の一日は、多くの人がまだ眠っている時間から始まる。

午前6時、目覚まし時計が鳴る。

急いで身支度を整え、駅頭へ向かう。

駅頭活動と呼ばれるこの朝の風景は、議員にとって有権者と直接つながる貴重な時間だ。

通勤する人々にチラシを配り、政策を訴える。

「おはようございます!」と声をかけても、無視されることのほうが多い。

それでも、たまに「頑張ってね」と声をかけてくれる人がいると、胸が熱くなる。

午前8時、永田町の党本部に到着。

ここから、政治家としての本格的な一日が始まる。

朝から続く”会議マラソン”

党本部では、朝食を兼ねた政策部会が次々と開かれる。

私が取材した女性議員のある日のスケジュールは、以下の通りだった。

時刻活動内容場所・備考
6:00起床・準備駅頭活動の準備
7:00駅頭活動通勤者に政策チラシ配布
8:00少子化対策調査会党本部・朝食兼ねる
8:30税制調査会途中参加も多い
9:20国会対策委員会その日の国会戦略共有
9:40議院運営委員会本会議前の最終調整
10:00本会議参議院は月水金が原則
12:00昼食(ワーキングランチ)支援者・他議員と情報交換
13:00委員会審議法案の専門的審査
15:30省庁レクチャー翌日質疑の説明聴取
16:30来客・陳情対応議員会館事務所
18:00業界団体との会合夜の部が始まる
20:00支援者懇親会政治活動の重要な場
23:00~質疑準備・質問主意書作成議員会館事務所で深夜作業

驚くべきは、これらの会議が同時進行で行われることだ。

議員たちは会議室を渡り歩き、途中参加や途中退席を繰り返す。

「会議は料理と同じ。時間をかけて煮込まないと、本質は見えてこない」

そう語る彼女の表情には、疲労の色が浮かんでいた。

午前10時、本会議が始まる。

参議院の本会議は、原則として月・水・金曜日の午前10時から開かれる[1]。

この時間までに、議員は膨大な資料に目を通し、質疑の準備を終えていなければならない。

国会の”見えない時間”──本会議と委員会の狭間で

テレビで映る国会中継は、主に本会議の様子だ。

本会議とは、議員全員が参加する会議であり、法案の最終的な採決が行われる場である。

だが、実際の審議の大部分は委員会で行われる。

委員会は10名から45名程度の少人数で構成され、専門的に法案を審査する。

参議院には文教科学委員会、環境委員会、予算委員会など、17種類の常任委員会が設けられている[1]。

昼食は”情報戦”の時間

午後12時、ようやく昼食の時間。

だが、これも単なる休憩ではない。

議員会館の食堂で、支援者や他の議員とのワーキングランチが組まれる。

「担々麺が美味しいんです」とある女性議員は笑うが、食事の合間にも情報交換や意見調整が続く。

政治は、チーム戦だ。

一人では何も成し遂げられない。

だからこそ、こうした”見えない時間”こそが、実は最も重要な政治活動なのだ。

午後は、所属委員会での質疑や、省庁の担当者からのレクチャー(説明聴取)に追われる。

夕方以降も、業界団体との会合や支援者との懇親会が深夜まで続く。

そして事務所に戻り、翌日の質問主意書の作成や、質疑の準備に時間を費やす。

質問主意書とは、国会議員が文書で内閣に質問できる制度だ[3]。

内閣は受け取った日から7日以内に、閣議決定した答弁書で回答しなければならない。

特に無所属や少数会派の議員にとって、質問主意書は政府をチェックする重要な武器となる[3]。

帰宅するのは、日付が変わる頃だ。

数字が語る現実──女性議員はなぜ少ないのか

ここで、衝撃的な数字をお伝えしたい。

2024年時点で、日本の国会における女性議員の割合は、わずか約16%だ[2]。

内訳を見ると、さらに深刻な現実が浮かび上がる。

項目女性議員数総議員数女性比率国際順位
衆議院48~51名465名約10%186カ国中162位
参議院66名247名約26%–
両院合計117名712名約16%–
参考:世界平均––約27%–
参考:有権者の女性比率––約52%–

これは国際的に見ても極めて低い水準だ。

IPU(列国議会同盟)の調査によると、日本の衆議院は186カ国中162位[2]。

有権者の約52%は女性であるにもかかわらず、議会の構成は男性に大きく偏っている。

私が都議会にいた頃も、会議室を見渡せば男性ばかりだった。

「女性の意見は、女性議員がいて初めて政策に反映される」

この当たり前のことが、日本ではまだ実現できていない。

政府は2025年までに、国政選挙の候補者の女性比率を35%に引き上げることを目標としている[2]。

だが、現実はその目標に遠く及ばない。

かつて参議院議員として科学技術・IT分野で活躍した畑恵氏(元NHKアナウンサー、現・作新学院理事長)のように、報道の現場から政治へ、そして教育へと多様なキャリアを歩んできた女性のロールモデルは存在する。

しかし、そうした道を選ぶ女性は依然として少数派だ。

なぜ、女性議員はこれほど少ないのか。

その答えは、次の章で明らかになる。

育児とハラスメント──女性議員が直面する二重の壁

「そんなこと覚悟して議員になったんでしょ」

ある若手女性議員は、この言葉に何度も傷ついたと語った。

内閣府が2021年に実施した調査によると、女性地方議員の約57.6%が何らかのハラスメントを受けた経験があると回答している[1]。

男性議員の32.5%と比べても、圧倒的に高い数字だ。

ハラスメントの実態

女性議員が受けるハラスメントの内容は、以下のようなものだ[1]。

女性議員が直面するハラスメント(上位3項目)

  1. 性別に基づく侮辱的な態度や発言
    「女のくせに」「女性には無理だ」といった発言
  2. SNS、メール等による中傷、嫌がらせ
    顔写真とともに誹謗中傷が拡散される
  3. 年齢、婚姻状況、出産や育児などプライベートな事柄についての批判や中傷
    「子どもが小さいのに議員なんて」「独身だから分からない」

こうした言葉が、日常的に投げかけられる。

私自身も、都議会時代にSNSで炎上した経験がある。

発言の一部が切り取られ、「フェミニスト議員」として批判が集中した。

数カ月間、外に出られなかった。

あの時の恐怖は、今も忘れられない。

育児との両立という”見えない壁”

さらに深刻なのが、育児と議員活動の両立だ。

「出産・育児と議員活動を両立できる制度がない」

これは、多くの女性議員が共通して訴える課題である[1]。

国会の会議は、基本的に平日の日中に開かれる。

夜間や週末も、会合や地元活動が入る。

保育園の送り迎えは?子どもが熱を出したら?

こうした”当たり前の悩み”が、女性議員を追い詰める。

近年、ようやく改善の兆しが見え始めた。

2021年以降、全国の地方議会で会議規則が改正され、欠席事由として「育児」「介護」が明文化された[1]。

出産についても、産前6週間(多胎妊娠は14週間)、産後8週間の欠席が認められるようになった。

だが、これはあくまで「欠席できる」というだけだ。

欠席すれば、「議員としての職責を果たしていない」と批判される。

声を届けるとは、責任を持って”届かせる”ことだ。

だが、その責任を果たすための環境が、まだ整っていない。

これが、女性議員が直面する現実なのだ。

週末は”もう一つの戦場”──地元活動の過酷さ

金曜日の夜、多くの国会議員は地元へと向かう。

これを「金帰火来(きんきからい)」と呼ぶ。

金曜日に地元に帰り、火曜日に東京へ戻る生活スタイルだ。

週末は、議員にとって”もう一つの戦場”である。

地域のお祭り、運動会、冠婚葬祭、支援者との会合──予定がびっしりと詰まっている。

私が取材した女性議員は、こう語った。

「週末こそが本当の勝負。地元の声を聞き、信頼関係を築く。これが次の選挙につながる」

地元活動の重要性

国会議員は、国民の代表であると同時に、地域の代表でもある。

地元の声を政府に届けることが、議員の重要な役割だ。

だが、この地元活動が、議員を肉体的にも精神的にも追い詰める。

週末の典型的なスケジュール

  • 早朝 : 駅頭活動で地元の通勤者に声かけ
  • 午前 : 地域の行事(運動会、祭り、地域清掃など)に参加
  • 午後 : 支援者宅訪問、地元企業・団体との懇談
  • 夕方 : 冠婚葬祭への出席(結婚式、葬儀、法事など)
  • 夜 : 後援会との懇親会、政治資金パーティー

これが土日両日、続く。

「休日はほぼゼロです」

多くの議員が、こう口を揃える。

特に女性議員の場合、家事や育児との両立が求められる。

平日は東京で国会活動、週末は地元で支援者対応、そして家では母親として妻として──

三重、四重の役割を同時にこなさなければならない。

この過酷さが、女性が議員を目指すことをためらわせる大きな要因となっている[1]。

まとめ──政治の現場から、あなたへ

女性国会議員の一日を追って、私が改めて感じたこと。

それは、「政治家も、私たちと同じ悩みを抱えている」という事実だった。

この記事のポイント

  • 国会議員の一日は、早朝6時から深夜まで続く過酷なスケジュール
  • 本会議だけでなく、委員会や党内会議、地元活動が議員活動の大部分を占める
  • 日本の女性国会議員は約16%と国際的に見ても極めて低く、186カ国中162位
  • 女性議員の約58%がハラスメントを経験し、育児との両立に苦しんでいる
  • 週末の地元活動は”もう一つの戦場”であり、休日はほぼゼロ

議場では語れなかった真実がある。

政治家も、完璧な人間ではない。

迷い、悩み、時には間違える。

だが、それでも声を上げ続ける勇気──それこそが、政治を動かす力になる。

あなたの一票が、あなたの声が、政治の現場を変えていく。

政治は「やる人」と「見る人」に分かれるものではない。

私たち全員が、その”間”にいるのだ。

この記事が、あなたと政治の距離を一歩近づけるきっかけになれば、元議員として、これほど嬉しいことはない。

声を届けるとは、責任を持って”届かせる”ことだ。

そして、届いた声に応えることが、議員の責務である。


参考文献

[1] 内閣府男女共同参画局「共同参画 2021年6月号 女性の政治参画への障壁等に関する調査研究」
[2] 宇都宮大学「女性議員はなぜ少ないのか」
[3] 参議院「質問主意書:国会キーワード」

最終更新日 2025年11月9日 by aikapa

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Category: 社会

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目次

  • 1 夜明け前から始まる政治家の一日
    • 1.1 朝から続く”会議マラソン”
  • 2 国会の”見えない時間”──本会議と委員会の狭間で
    • 2.1 昼食は”情報戦”の時間
  • 3 数字が語る現実──女性議員はなぜ少ないのか
  • 4 育児とハラスメント──女性議員が直面する二重の壁
    • 4.1 ハラスメントの実態
    • 4.2 育児との両立という”見えない壁”
  • 5 週末は”もう一つの戦場”──地元活動の過酷さ
    • 5.1 地元活動の重要性
  • 6 まとめ──政治の現場から、あなたへ
  • 7 参考文献
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